祈年祭から新嘗祭へ

【春】豊作を願う「祈年祭」
 きねんさい:2月17日

【秋】収穫に感謝する「新嘗祭」
 にいなめさい:11月23日

祈年祭と新嘗祭は
ワンセットだと思って下さい。

「きねんさい」は音読み(漢語)で
訓読み(和語)では「としごいのまつり」。

「とし」は「年」であり
「稔」と書いても「とし」と読む。

「稔」は「みのり」とも読みます。
「みのり」を得る周期を「とし」と呼ぶ訳です。

つまり、
一年間の稔り(年)を乞う(祈)から「祈年祭」。

厳格な神職さんには
音読み(漢語)では本来の趣旨が分からなくなるから

必ず訓読み(和語)で発音するように
とおっしゃる方もいます。

祈年祭の祝詞を見てみましょう。

(文頭)掛介麻久母畏伎・・・
(文末)・・・恐美恐美母白須

(文頭)掛けまくも畏き・・・
(文末)・・・恐み恐みも白す

平仮名に直すと

(文頭)かけまくもかしこき・・・
(文末)・・・かしこみかしこみもまをす

こんな感じです。

祈年祭の祝詞の中に

「豊介伎秋乃御祭厳志久美波志久仕奉良志米給閉登」

とあります。
なんのこっちゃ、ですが

「豊けき秋の御祭厳しく美はしく仕奉らしめ給へと」

意訳すれば

「秋の新嘗祭を豊かに厳かに、立派に執り行えますように」

と、祈年祭の段階で
秋の新嘗祭に向けてのビジョンを描いているのですね。

これを「型(かた)をつくる」といいます。

思い描いたことが実現する。
これが言霊(ことだま)です。