物質から精神へ

人情の弱点として、利益が欲しいという思いが勝って、下手をすると富を先にして道義を後にするような弊害が生まれてしまう。それが行き過ぎると金銭を万能なものとして考えてしまい、大切な精神の問題を忘れ、モノの奴隷になりやすい。

『現代語訳 論語と算盤』(渋沢栄一・著、守屋淳・訳、ちくま新書)

新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延により、日常行動の自粛を余儀なくされ、極力外出をしない生活が求められています。テーマパーク、映画館といった娯楽施設も営業を停止し、これまで私たちが享受してきた「外から受ける楽しみ」というものを徹底的に封じ込められている感もあります。

経済が停滞することによる企業活動への打撃は計り知れない深刻なものとなりますが、一方でこれまで「あって当たり前」「もらって当たり前」「受けて当たり前」だったものが「当たり前ではなかった」事実に直面し、否が応(いやがおう)でも<物質>から<精神>へ視点の軸を移動させざるを得ない<価値観の転換期>に来ている、とも言えるわけです。