逆手の法

丸山応挙(江戸時代中期~後期の絵師)の有名な話だが、応挙はある日知り合いの料亭に行った。ところが亭主はすこぶる心配気なので尋ねたところ、近頃、稼業が不振になり立ち行かないため閉店の相談中であるとの話。そこで応挙は「よろしい俺に考えがある」と言って立ち帰り、間もなく見事な女の幽霊絵を描き上げ持って来て、早速床の間へ掛けさせた。亭主は驚いて「営業挽回に陽気なめでたい画でも描いてくれそうなものを、これはあまりにもひどい」と言うと、応挙は「マーマー黙って結果を見ろ」と言った。ところが応挙の言う通り、幽霊の絵が評判となり、以前にも増して繁昌したとのこと。物事は、陽極まれば陰に変じ、陰極まれば陽に転ずるという理(ことわり)を応挙は知って、逆手(ぎゃくて)を打ったのであろう。

『逆手の法』(岡田茂吉・昭和24年)

平穏なときに危機を感じ、危機のときに平穏を感じる。
つねに「逆」を考えることで、そのバランスよい中間<中庸(ちゅうよう)>を心掛けることが大切ではないでしょうか。

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